夜明けの晩に

雲が東に流れてゆきました

朝日は森からやってきて

夕日は富士山にぽとりとおちてしまいました

薄暮には大抵不安になりました

空っ風が吹いた日は

田畑の土を巻き込んで

空がきいろになって

砂漠のようになりました

赤い椿が咲いてから

白い椿が咲きました

どんぐりを幾つも拾いました

しばらくしずかな場所におりました

そこで出逢った仲間がいました

わたしたちはかけがえのない友でした

 

時が経って

わたしは右手を描きました

採れたてのレモンと一緒に描きました

りんごやみかんを描きました

枯れ草枯れ木を描きました

仲間たちを、描きました

そのうちに ふいに歪んでしまった眼鏡を

描きました

 

かごのなかからー

 

この展覧会を開催するにあたっては

大きな迷いとともにあらゆるものを見失っており、

それにも拘らず

大倉宏氏と

新潟のそらは

静かに全部を受け入れてくださいました

絵を描くこと、成立させることには

どの絵も志は全く変わりありません

しかし

あらわれは

またちがうものになりました

 

絵を描かせていただけたこと

絵を掛けてくださった、大倉氏と新潟絵屋さんに

みにいらしてくださったすべてのかたに

モデルになってくれた仲間たちに、応援し続けて下さった皆さんに

心から感謝いたします

梅田恭子 2017年4月

 

自己宙に潜る[梅田恭子展ツブノヒトツヒトツ] ※砂丘館ブログより

 

2017.3梅田恭子展-かごのなかからー※新潟絵屋ブログより